ここでは痛みを伴わない膝の腫れについて解説しています。膝の腫れとなる変形性膝関節症や糖尿病性神経障害などの症状について紹介しています。

注意!痛みを伴わない膝の腫れ

痛みを伴わない症状とは?

一般的に膝に限らず、体の一部が腫れると痛みも同時に起こります。ところが、場合によっては腫れだけの症状があり、痛みを伴わないことがあります。このような症状があった時は要注意です。気づかないうちに病気にかかっているかもしれません。今回は膝に関して痛みを伴わずに腫れている際にどのような疾患にかかっている可能性があるか紹介します。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝を長年の使うことで膝関節の軟骨がすり減る疾患です。痛みを伴うことが一般的ですが、初期の段階では痛みは少なく腫れだけが見られるようです。変形性膝関節症の発症は女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患率が高くなります。発症に気づくタイミングは立ち上がりや、歩きはじめなど動作の開始時に痛みが出る時が多いですが、休めば痛みがとれるため、放置してしまいがちです。悪化すると正座や階段の昇降が困難となり、末期になると安静時にも痛みがとれません。膝が伸びず歩行が困難になります。

糖尿病性神経障害

高血糖が続くと、末梢神経の代謝に異常をきたして不必要な物質が溜まり、神経に栄養を与える血管が傷つきます。これにより血流が低下し、結果として神経の働きに障害が出てしまいます。これが糖尿病の合併症の1つである糖尿病性神経障害です。手足のしびれなど感覚が麻痺する病気ですが、膝の腫れが発症することがあります。神経障害は重篤な病気につながる場合があるので注意すべきです。

アルコール依存症

アルコール依存症は、長期間にわたり大量にお酒を飲み続けることによって進行し、次第にお酒なしではいられなくなる病気です。お酒を飲まないと気分が晴れず、お酒に頼って気持ちを安定させるようになり、そのうち少量では酔えなくなってきます。さらにお酒が切れると不安になる、イライラする、夜眠れない、汗をかくなどの症状が出てきます。また、症状がひどくなると手足にしびれが生じることがあります。それが膝に出た場合には痛みを伴わない腫れの症状を起こすことがあります。

ビタミン欠乏症

ビタミン欠乏症は症状が多く、どのような症状が現れるかはビタミンの種類によって異なります。主なものとしては、ビタミンB1不足による脚気、ビタミンC不足による壊血病、ビタミンA不足による夜盲症、ビタミンD不足によるくる病や骨軟化症などがあります。痛みを伴わない腫れはビタミンDが欠乏することにより、骨粗鬆症や軟骨組織の石灰化が起こり、それによって関節が変形して変形性膝関節症と似たような症状が起こるためです。ビタミンを含む食品の摂取不足、吸収障害、必要量の増加などで起こります。無理なダイエットや不規則な食生活、高齢になるにつれて食生活が変化することなどから、潜在的なビタミン欠乏症の方は多いと考えられています。

結核性関節炎

結核性関節炎は関節の腫れと痛みが主な症状ですが、他の関節炎と異なり熱や赤みはあまりなく、激痛もめったにみられません。安静によって痛みは軽くなるため、診断も遅れがちになり、徐々にと関節の動きが悪くなっていきます。結核を発症後、血液を通して結核菌が関節に入り込ことで骨や軟骨が破壊されていきます。多くの場合は腫れと痛みが同時に起こるようですが、腫れだけが出る場合もあるようです。