程度の差はあれ、多くの人は年齢とともに関節の痛みを感じるようになります。そんな関節の痛みを漢方で和らげるアプローチについて紹介します。

漢方にも関節痛を治療するノウハウがある

関節痛に対する漢方薬の考え方

漢方では、慢性的な関節の痛みには「冷え」と、「血」「水」の異常があると考えます。特に、血の巡りと水の巡りが悪いと捉えるところから治療をスタートします。また、神経痛や関節痛は慢性化しやすい傾向がありますから、体質改善を目指した治療も行います。まずは体を温めて「気・血・水」のバランスを整えることを目指します。

関節の痛みや腫れによく使われる漢方薬にはさまざまな成分がありますが、基礎になるのは、「桂皮」と「麻黄」という2つの生薬。このふたつには、炎症を抑えて関節に滞っている「水」の巡りを改善する効果があります。これに、一人ひとりの症状や体質、年齢などにあわせた薬を配合していきます。

寒暖差や心理的な問題などの面からもアプローチ

関節痛の原因は、関節そのものの異常もありますが、それ以外に筋肉の異常、心理的な問題などさまざまな要素が関係している場合があります。特に、寒暖など季節的な要因や気温、湿度などに左右されることが少なくありません。冬の寒い時期や冷房にさらされて痛みが強くなることがあるのです。健康な人でも冷えを感じると血管が収縮して体温を保とうとするのですから、寒さ・冷えに弱い人はさらに血管が収縮し、関節や神経が痛んでしまうというわけです。

体内の流れが滞っているというだけでなく、神経が圧迫されている場合などは医師による治療が優先されます。画像検査などにより漢方治療が適しているかどうかを確認したうえで治療を行うようにしましょう。